エチゼンクラゲとは、傘の直径が2メートルを超えることも珍しくない、とにかく大きなクラゲである。日本海で大量に発生したときには、ビッグニュースにもなった。
 瓶に入っているのは、その体の一部なのだ。

「何食ったらあんなでかくなるのか、調べたろうと思って」

 生物が何を食べているのかを科学的に判別する。大河内さんは、そのスペシャリストだ。2012年11月には、ウナギの稚魚が何を食べているのかを解明した。

ウナギ博士として知られる塚本勝巳教授。(写真:田中良知)
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 これは、ウナギ博士として知られる塚本勝巳教授たち東京大学大気海洋研究所のグループとの共同研究である。

「5、6年前に何かの委員会で塚本さんと一緒になって、昼飯食っていたときにこの話を耳にして、やってみたらおもろいかなと『調べますからサンプル送ってください』と言ったのがきっかけです」

 ウナギといえば最近は、価格の高騰が話題になることが多い。そして、実はその生態があまり明らかになっていない生物であることも広く知られるようになった。
 ウナギには天然と養殖があるが、養殖といっても、卵から孵して育てているわけではない。
 なぜか。生まれてすぐの稚魚を飼育するのがとても難しいからだ。
 なので、太平洋をはるばる流れて大きくなった稚魚(シラスウナギと呼ばれる)が、川を遡上しようとするところを待ち構えて、捕まえて、それを育てている。
 この、シラスウナギの数が減っている。だからウナギのお値段も上がるのだ。
 どこで卵が産まれるのか、どういう条件で孵化するのか、稚魚は海で何を食べているのか。それがわかれば、卵からの養殖が軌道に乗り、天然のウナギが増え、価格だって多少はお手頃になるかも知れない。

 太平洋の西部で卵がみつかったのが2011年夏。そして、稚魚のエサが明らかになったのが、今回だ。

ウナギの稚魚レプトセファルス。生まれてしばらくは柳の葉のようなこの体で、太平洋を流されてくる。(提供:株式会社いらご研究所 山田祥朗)
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シラスウナギ。沿岸にたどり着いて川を上るころにはこの体形に。(ナショナル ジオグラフィック2010年9月号より)
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