気候変動の研究史を描いた著書で「講談社科学出版賞」を受賞したかと思えば、ウナギの稚魚が何を食べているかを解明する。スゴイんだけど、大河内直彦さんて、いったい何の研究者? ――実は、地球の歴史から病気の原因まで、研ぎ澄ました測定技術で次々と暴く“科学探偵”だったのです!

JAMSTEC横須賀本部を訪れると、調査船「かいよう」が帰港し、地震計など調査機材を降ろしていた。今回のお話とは、あまり関係ありません。(写真:田中良知)
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大河内直彦さん。1966年、京都市生まれ。(写真:田中良知)
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「僕はあまりナショジオっぽくないですよ」

 快く自室に取材陣を招き入れてくれた大河内直彦さんは、こう切り出した。
 ライターK瀬の目の端で、ナショジオ編集部Y尾が落ち込みかかっている。
 大河内さんは、JAMSTECの海洋・極限環境生物圏領域 海洋環境・生物圏変遷過程研究プログラムのプログラムディレクターだ。

 海洋、環境、生物。いや、十分にナショジオっぽいではないですか。

「いやいや、僕はラボステイ(研究室に滞在すること)が大半の人間だし、船酔いはするし、休日は趣味のサーフィンで過ごすというようなことはないし。共働きなので、休日は、掃除して洗濯して買い物をしたら、終わります」

 飄々と聞こえる京都弁で話しながら、テーブルに置かれている、手のひらに収まるサイズの瓶を手に取る。

「これ、なんだかわかります?」

 液体の中に、白いかたまりが漬かっている。

 蛇の頭の骨? と私、ライターK瀬。おい、何の研究所だと思ってるんだ。
 フカヒレ? と編集者Y尾。中華料理店じゃないぞ。
 イカの切り身? とカメラマンT中。和食店でもないんだ。

「エチゼンクラゲです」

 全員、はずれ。

謎の白い切り身は、エチゼンクラゲだった。(写真:田中良知)
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