「ハロー、はじめまして、私がトーニャよ。犬たちのこと、よろしくね。サヨナラ~」

 と上空へと消えていった彼女は、親の離婚以来、数年に一度ほどしか会うことができない父親と、久しぶりに一緒に過ごしているのだと言う。

 私がここに来たことで、なかなか会えない父親に会いに行くチャンスとなったのだ。

 そして、あの日、私が乗ってきた飛行機に跳び乗ったという訳だった。

 まあ、そういう理由なら仕方がない。

 話を聞くと、トーニャの父親もまた、優秀なマッシャー(犬橇使い)であった。

 彼女自身、ユーコンクエストというアラスカの大きな犬橇レースの最年少完走記録を持っている凄者だけれど、父親もまた、アラスカのもう1つの大きな大会、アイディタロッド犬橇レースを、何度も上位完走しているマッシャーだった。

 両大会とも、完走すらなかなかできない犬橇レースであるから、親子共にトップアスリートだったのだ。

 父親は、子供の頃から犬橇に乗るトーニャの師匠のようなものだった。

 今は、別の場所で森の生活をしているのだという。

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