第1回 世界初の民間商用宇宙船開発に携った日本人

「9歳ぐらいの時から天文学に興味がありました。親が図書館に連れていってくれて、天文学の百科事典をたまたま見つけました。惑星とか銀河とかの写真を見て、いろいろなのがあるんだなあと思ってわくわくして。少し後に出た『ホーキング、宇宙を語る』という本も読んだりしましたね。12歳から14歳まで、家族全員で2年間アメリカにいたんですが、その時にNASAのニュースをみたり、スペースキャンプ(休暇中に生徒が参加するプログラム)で、宇宙開発について知ったんですね。で、僕自身も宇宙に行きたいな、宇宙飛行士になりたいと。そのためにはアメリカでの教育のほうが自分のためになるんじゃないかなと感じました」

 いったん高橋さんは日本に戻り高校生になるのだが、1年生の9月にはアメリカの高校に入り直し、そのままアメリカ在住で今日に至る。

 宇宙飛行士になりたい! そのためにはアメリカで教育を受けた方がいい! というのは、この時点では直観レベルの決断だったように聞こえた。しかし、それが、ドンピシャとはまり、さすがにまだ、宇宙飛行士にはなっていないものの、様々な意味で宇宙に関わるキャリアを重ねることができた。研究者としても社会人としても宇宙へのロケットスタートを切ったアストロボーイという印象なのである。

かつて高橋さんが博士号論文の口頭試問を受けた思い出の教室で。
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つづく

高橋有希(たかはし ゆうき)

1979年、米国イリノイ州生まれ。すぐに帰国し、日本で育つが、宇宙飛行士になることを夢見て高校入学時から米国に移住。2001年、カリフォルニア工科大学物理学部卒業。英国グラスゴー大学天体物理学部にて月面望遠鏡の提案に励み、2003年、修士課程修了。博士課程からはカリフォルニア大学バークレー校物理学部に籍を移して、宇宙の起源を探る望遠鏡を開発し、2010年、博士号を取得する。2011年から2012年まではスペースX社航空電子工学部門にてドラゴン宇宙船の開発に従事。現在はサンフランシスコの新しい宇宙ベンチャーで技術開発に携わる。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。近著は、独特の生態系をもつニュージーランドを舞台に写真家のパパを追う旅に出る兄妹の冒険物語『12月の夏休み』(偕成社)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)。
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