第1回 世界初の民間商用宇宙船開発に携った日本人

 スペースX社は、民間商業宇宙のトップランナーとして世間の注目を浴びるようになったため、取材対応がとても厳しい。社長と広報担当者以外、公に発言してはならないルールがあり、社員である時には、まったく何も言えなかったという。いや、宇宙ベンチャー自体、情報を機密扱いにするところが多いようで、高橋さん自身の新しい会社もまだ「お披露目前」として公にはしていないのだという。

 一瞬残念に思ったのは間違いで、実はすばらしいタイミングだったのである。

 さらにインタビューを前提に調べていると……高橋さんの博士課程での研究がすごい。宇宙の謎を解き明かすための望遠鏡を南極点に設置し、滞在した経歴の持ち主なのだ。

●南極点に天体物理研究のための望遠鏡を設置し、4季、総計10カ月にわたる南極点滞在経験(アムンゼン・スコット基地)。

●民間宇宙企業スペースX社にエンジニアとして就職し、ドラゴン宇宙船による初の国際宇宙ステーション補給ミッションに参加、その後、新たな宇宙ベンチャーに加わる。

 といっただけで、「おおっ」と思いませんか。

 だから、今回のお話は「3階建て」である。高橋さんが、自身の研究で南極に望遠鏡を設置する話と、そこから宇宙ベンチャーに至るまで。これら2つは別の話題に見えつつもしれないが、実は密接につながっているとすぐに分かる。さらには、高橋さんの体験を入り口にして、今、米国で花開いているように見える民間宇宙企業、それもベンチャーと呼ぶに相応しい夢のある業種について紹介したい。