さばいたときに、どんな身をしているのか分からないけれど、このぷりぷりグラマーな魚体を見ていると、実に美味しそうでもあった。
料理好きの私には、興味が掻き立てられる食材だ。
これは煮付けかフライか、やはり蒲焼か、と考えていると、スティーブが再び大きな魚を引き上げた。
次にドカッと落ちてきたのは、これまたアゴ髭の生えた魚。今度は、色が黒く、への字口の偏屈顔をしていた。
体つきも、色っぽさも可愛らしさもまったく感じさせない。
魚の世界で言えば、湖底の悪役同盟の子分といった感じだ。
これまた勝手に名づけるなら、「への字口偏屈顔アゴチョロ髭悪役子分」といったところである。そのまんまだが……。
「髭が生えているから、これはバーボットの仲間かい?」
と、スティーブに尋ねると、
「これは、キャットフィッシュだよ」と言う。
「え? ナマズってことでしょ? へ~、これが~」