リスク・テイカー 危険覚悟の挑戦者

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毒ヘビを追いかけて

ゾルタン・タカシュ

文=パット・ウォルターズ 写真=マルコ・グロブ

ゾルタン・タカシュは爬虫(はちゅう)類学者。ハンガリーで過ごした少年時代にヘビに魅せられ、毒の専門家となる。これまでに100カ国以上を回り、毒をもつ爬虫類を数千匹捕獲してきた。毒を採取して、人間のための治療薬の開発に役立てるためだ。だがタカシュ自身は、ヘビの毒にアレルギーをもっている。

――危険な仕事ですね。常に死を覚悟していますか?

私は自分の人生を楽しんでいるし、死にたくなんかありません。愛する家族もいます。同僚が3人もヘビにかまれて死んでいるので、作業には慎重を期しています。

――ヘビにかまれたことはありますか?

6回あります。全部自分のミスです。最初は15歳の時。前回は2008年、ブラジルのアマゾンで。毒性は低かったけど、ひどいアレルギー反応に苦しみました。

――それほどの危険を冒す価値があるのですか?

最終目標はヘビの毒を医療に役立てることです。ヘビの毒から作られた医薬品は10種類以上。人の命を救うものもあります。重い心臓発作に使われる薬は三つあり、そのうち二つは爬虫類の毒から作られたものです。毒をもつ生物は約10万種、毒の種類は約2000万種類です。薬の原料になる可能性がある毒は、まだまだあるはずです。

――フィールドでは普段どんな1日を過ごすのですか?

“普段”なんて呼べる日はありません。私は地球の隅々まで行きます。小型飛行機を飛ばし、海に潜り、熱帯雨林や砂漠の真ん中で寝る。危険もさまざまです。感染症にワニ、内戦、地滑り、海賊。投獄されたり、ゾウに追いかけられることもあります。

――それに比べて、研究室での作業は退屈なのでは?

そんなことはありません。私の調査は研究の上に成り立っています。自然界が何億年もかけて“開発”してきた毒を調査して、医療用に改良するのが私たちの役目です。

――それにはまず、毒を手に入れる必要がありますね。

その通りです。熱帯雨林で毒ヘビを探さないことには、この仕事はできません。

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