「フェア・トレード?」

「フェア(=公正な)・トレード(交易)じゃなくって、ファー(=毛皮)・トレード。ビーバーの毛皮が昔ヨーロッパで流行してね、それで、おおくの西洋人が海を渡って、この地にやってきた。このポーテッジも毛皮交易の主要なルートだったのよ。ビーバーにとっちゃ災難よね。フェアなんてもんじゃないだろうから……」

 <そんな歴史があったのか……じゃあビーバーにとって人間は、いわば先祖の仇だ。あんなに怒るのも当然かもしれない。>

 さらにビーバーについて、ちょっと気になっていたことを聞いてみました。

秋を迎え、角が立派に成長したオスのムース。メスの呼び声に耳をすませているのか、森の奥に向けて聞き耳を立てていた。(写真クリックで拡大)

「ビーバーって……テントとか、カヤックとか、齧りにきますか?」

 彼女は最初、ぼくが何を言っているのかよく分からない様子でした。

 が、もう一回聞いてみると、急に目を丸くして、笑いながら、

「ノー! ビーバーは木をかじるけど、テントやカヤックなんて食べないわ。おいしくないもの」

「でもパドルは? 木でできてますよ?」

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る