第19話 徐々に近づく、焼き魚定食への確信!

網から外すのが難しい。(写真クリックで拡大)

 網ごと魚を船内にゴロンと引き上げると、今度は、曲げた釘を木の棒の先端に打ち込んだようなカギ棒で、魚の体に巻きついている網糸を外すことになる。

 ピチピチと尾びれを床に叩きつけながらも、必死に抵抗する魚を手で抑えて、私は1本1本、カギ棒に糸を引っ掛けて解いていった。

 が……、

 実際のところ、本当に解けているのか、さらに複雑に絡めてしまっているのかが分からなかった。

 この糸をあっちに、あっちの糸をこっちに……、といろいろ試してみるのだが、一向に魚を解き放つ出口が見つからないのだ。

 これは、なかなかの難解作業である。

つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/