第19話 徐々に近づく、焼き魚定食への確信!

 スティーブは、遠くに浮かぶ容器たちを凝視すると、
「あれ? 魚がかかっていないかもしれないな?」と言った。

「え? どうして?」

 まだ網も引き上げていないのに、私には腑に落ちない言葉だった。

「かかっていたら、1つぐらいは、浮きが沈んでいるからね」

 スティーブは、エンジンの音に負けないくらいの大きな声で言った。

 なるほど……、見るところ、どれも軽そうに、小さな波にも揺らいでいる。

「もしかして本当に、今晩の焼き魚定食は、オアズケかな……?」

 すっかり、焼き魚定食気分になっていた私は、少し、がっかりした気分になってしまった。

 ところが、網のすぐそばまでボートを近づけると、網のラインが、ところどころ深く沈んでいる。

 スティーブが、痛いほどに冷たい水の中に手をつけて、網を引いてみると、「重いぞ」と、口髭をニマリとさせた。

「重いぞ」(写真クリックで拡大)