第19話 徐々に近づく、焼き魚定食への確信!

 と言うのも、このマウント・デナリは、多くの登山家たちを魅了する有名な山でもあるが、その一方で、プロ、アマ問わず、写真家たちを魅了する山でもあって、特に、このマウント・デナリを背景にして、ムースやカリブー、グリズリーなどの野生動物を撮るのが、人気の構図でもある。

 お土産として売られている絵葉書や写真集でも、おなじみだ。

 ところが私が見ているのは、マウント・デナリを背景にした野生動物ではなく、ゴミ箱に放り込まれているような洗濯洗剤の空容器たちなのである。

 これは逆に、自然というものを改めて考えさせられるきっかけになった。

 空容器たちの向こうに見えるマウント・デナリ周辺は、動植物を保護している国立公園になっている。

 保護された地域ではあるが、観光地としても賑やかな場所で、園内バスに乗れば、誰でも安全に熊やムースなどの野生動物を見ることができる。

 言ってみれば、人と野生動物との関係が、まるで動物園にあるような、「見る者と、見られる者」というものでしかない。

 しかしながら、保護区の境界線を外れ、猟や漁によって生計を立てている人たちの暮らしがある、このミンチュミナ湖周辺には、人も野生動物たちも、厳しい自然のなかにあるリスクを負いながら、必死に食べ物を得て生きる姿がある。

 要するに、保護されて眺めるだけの自然と、命をつなぐために利用する自然との境を、この色とりどりの、ゆらゆら洗濯洗剤の容器たちが象徴しているようだったのだ。