第18話 北の漁場の、妄想赤ちょうちん!

 フィットしていないジャケットに、ガサガサ、ドカドカと音を立てながら、大手を振り、大股で歩いて、意気揚々とリバーボートに乗り込むと、私はなんとしたことか、足が上がらずに、ドテっと船内に転がり落ちてしまった。 

 キーンと、とっさについた手に電撃が走る。
 鉄でできているリバーボートの船底が、この気温の低さでキンキンに冷えていたのだ。

「ぎゃ~、冷たい!」

 向きを変えて起き上がり、どっこいしょとばかりに腰を下ろし直すと、今度は、じわ~っと尻が冷たくなってきた。

 やはり、冬を間近にしたアラスカは底冷えがする。

 湖面に出て、ボートのスピードを上げると、さらに完全防寒ライフジャケットの有り難味が身に沁みてきた。

 それまでの冷たい空気が、スピードが増すことによって、トゲのように刺してくるのだ。

 そんな冷たい風も、ライフジャケットの内側に仕込まれている素材を境にピタリとして入ってこない。

 ボートはまっすぐにマウント・デナリ(マッキンリー)の方向へとひた走った。