第3回 儀礼と風習からみるマヤ文明の精神世界

神々へのいけにえを決める球技も

 ユネスコ世界遺産であるチチェンイツァ遺跡を例に、いけにえの儀礼を見てみよう。聖なる泉「セノーテ」では、神への奉納として人間を投げ込む儀礼もあった。セノーテの底をさらった結果、織物や紡錘車、土器、石器、ヒスイや黒曜石、貝などで作られた装身具など多くの品々が発見された。その中には、人の頭蓋骨で作られた香炉もあり、コパルという樹脂のかたまりを炊く儀礼も行われていたようだ。

聖なる泉「セノーテ」。いけにえを投げ込むこともあった。(写真クリックで拡大)

 縦の長さが168mもあるマヤ最大の「大球技場」では、神々へのいけにえを決める儀礼が行われていた。この球技は、手を使わずにゴムでできたボールをコート沿いあるいはエンドゾーンにつけられた輪にくぐらせたり、丸い標識に当てたりして勝敗を決する。負けたチームのキャプテンは、首をはねられてしまうのだ。その儀礼の様子が、大球技場の壁面に刻まれた図像に描かれている。首からは血が吹き出し、飛び散った血の先はヘビの頭となっている。ヘビが神格化された信仰は、こういった図からも読み取ることができる。

球技場(左)とその壁画(右)。(写真クリックで拡大)