第3回 儀礼と風習からみるマヤ文明の精神世界

 マヤ文明を理解するためには、視覚的にわかりやすいピラミッドや石碑、装飾品だけではなく、目に見えない世界観や思想を反映した儀礼や風習を知ることが必要である。世界観はどの民族にもあるが、マヤ文明の場合はどのような独特な世界観、そしてそれに関連する儀礼や風習があったのだろうか。

マヤ文明の世界観とは

 マヤ人たちにも、どのように世界が創られ、どんな風に成り立っているかといった世界観が存在する。マヤの場合も、神と主要な食物が世界の創造と密接にかかわっている。マヤ高地の人々が残したと言われる『ポポルウフ』によると、神によってトウモロコシから人間が創られたと記されている。また、バカブという神々が世界の四方に存在し、彼ら4人によって四隅が支えられていると考えられていた。

 マヤ人は自分たちが住んでいる大地のほか、天上界と地下界があると信じていた。大地は海に浮かんでおり、時にはワニの背中、時にはカメの甲らに例えられたようだ。天上界は13の層に、地下界は9つの層にそれぞれ分かれていると考えていた。大地から地下界に抜けるには、洞窟を通る必要があった。前回触れたように、古典期後期には入口を怪物の口として表現した神殿も多く現れるが、それは同時に洞窟を模したものでもあったのだ。