第11回 小さくて大きな可能性をもつ群知能

光る木

『ナショナル ジオグラフィック』の2007年7月号を見ていたら嬉しくなった。ホタルが大量に集まって木全体が光っている写真が出ていたからだ。雑誌の写真だから夜光性の樹木かなにかのように見えるが、写真説明にも書いてあるとおり、この巨大な樹木いっぱいにとりついているホタルは点滅しているのだ。

 それも全体が同じタイミングで点滅している。まるでクリスマスに樹木を飾るイルミネーションが電気仕掛けでシンクロしているようにだ。

 これはインドネシアの写真だったが、ぼくはそれと同じ「ホタルの木」をパプアニューギニアのニューアイルランド島で見ている。

 真夜中に島の人が「面白いものを見せてやる」というのでトラックの荷台に乗せてもらって山のなかに入っていったらそれがあったのだ。

 最初は、ダミーのホタルで、1匹ずつが細いコードに繋がれていて、一定のリズムで点滅させているに違いない、と思ったが、近くにいってよく見てもそんなコードはまったくなかった。木の葉にとまっているホタルも、そのまわりをとびかっているホタルも、なにか理由のわからない同調のタイミングをとって同じときに光り、同じときに暗くなっているのだった。まあ考えてみればパプアニューギニアの山のなかである。ほとんどヒトの姿もないようなところでわざわざイルミネーションもないだろうから、これは本当にホタルが自分たちで同調しているのだ、ということを信じるしかなかった。