第17話 いよいよ始まる! 原野の自給自足生活!

 セルフ、サブスィスタンス。

 私の解釈では、「自ら生きる」という意味だ。

 この森で、缶詰生活なんて、もったいない。

 森とともに、湖とともに、自然の恵みを自分の命に変えながら暮らしたい。

 俄然やる気が出た私は、なお網目の修理にせっせと精を出した。

 冬の到来が近いこの季節は、明日にでも湖に氷が張りださんばかりに、日々寒くなっている。

 網漁は、湖が凍ってしまうとできなくなるために、当分の貯蔵を考えると、できるだけたくさんの魚を獲っておかなければならない。

 スティーブは再び、不器用な手を止めて言った。

「氷が張る、冬の到来との競争だよ」

 よし!

 なにがなんでも獲るぞ! 大漁だ!

オリバー爺さんとスティーブ。(写真クリックで拡大)

つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/