この体験を通じて、長期にわたって滞在することと、自ら海中に身を置くことの重要性がよくわかったが、人間が生身で潜水できる深さにはやはり限界がある。言い換えれば、海の大部分は潜水可能な範囲を超えているのだ。

 そこで登場するのが潜水艇である。私は子どもの頃、初期の潜水システムで海中調査を行った博物学者ウィリアム・ビービの著書に生き生きと描かれた深海の生物に夢中になったものだが、実際に体験してみると、その素晴らしさは本の比ではない。

 フロリダ沖のドライ・トートゥガス諸島の西側に広がる海底の斜面に、小型潜水艇ディープ・ワーカーを接地させると、水深計の針が490メートルを指した。この一人乗りの潜水艇は、船というよりダイビングスーツに近い。降りていく途中で、私には仲間ができていた――100匹はいようかというアメリカアオリイカがきっちり隊列を組み、私の肩のすぐ後ろから、まるで生きたマントのようについてきたのだ。

 私が向きを変えると隊列も向きを変え、前進すると同じ速度でついてくる。魚やカニの写真を撮ろうと止まると、イカたちも動かずに待っている。動きの素早い甲殻類の群れが潜水艇のライトの周りで跳ね、そこへ指ほどの大きさのハダカイワシがたくさん寄ってきた。時おり、群れから離れたイカが小さな魚を捕らえると、青みがかった銀色の鱗が潜水艇に降り注いだ。

潜水艇ディープワーカーと著者。 ©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

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