「深海でゴエモンコシオリエビをいくら観察しても、目に見えない小さなバクテリアをつまんで口に入れるところはわかりませんからね(笑)。だから、証明のために、生け捕りが必要なんです。生け捕りをして、ゴエモンコシオリエビがバクテリアをエサにしていることを、生物学的に明らかにしないとならないんです。つまり、バクテリアにラベルを付けて、それがゴエモンコシオリエビの体内に取り込まれていくのを、確かめないと」

 バクテリアにラベルを付ける、と和辻さんはさらりと言うが、小さなバクテリアにシールを貼ったり付箋を付けたりというわけにはいかない。いったいどうやってラベルを付けるのか。考えただけで気が遠くなる。

何も与えなくても生きられる?

 今、飼育室には水槽が3つ並んでいる。
 その目的は、新たなる共生の秘密を解き明かすことにある。
 それぞれに10匹ほど、ゴエモンコシオリエビが飼われている。

「どの水槽でも、水温、水素や酸素の濃度、それから、pHをオートでコントロールしています。酸素も、濃度が上がりすぎないように、酸素を吸収する装置を通して、水を循環させています」

 通常、水槽で魚などを飼育する場合には水には酸素を加えるが、その逆だ。この装置は市販品を組み合わせて作ったもので、特許出願を済ませたそう。

 圧力は?

「特にかけていません。それに、いったん環境が安定してからは、水も交換していません」
 意外である。ゴエモンコシオリエビは、タフなんですね。

飼育室にはガスボンベにつながれた3つの水槽。和辻さんが試行錯誤して完成させた飼育装置だ。(写真:田中良知)(写真はすべてクリックで拡大)

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