(写真:田中良知)

 ゴエモンコシオリエビは、エサとなるバクテリアがいないと生きていけない。そしてこのバクテリアは、ゴエモンコシオリエビがいなければ、エサを手に入れやすくかつ暮らしやすい住まいが手に入らない。

 このような関係を、外部共生という。外部共生とわざわざ言うからには、内部共生という状態もあるのだが、それについては、今回は割愛する。

 この、ゴエモンコシオリエビとバクテリアの関係性、つまり外部共生を世界で初めて証明したのが、和辻さんたちの研究グループなのだ。

 以前から、ゴエモンコシオリエビが沖縄トラフの熱水域に生息していることは知られていた。そして、外部共生もしているであろうことは、おおかた予測されていた。

「光が届かず、植物の育たない深海で、動物がどうやって生きているかというと、2種類あります。ひとつは、浅いところから沈んでくるおこぼれ、つまり他の生物の死骸をエサにする例です」

 こうやって生きているのは、主に魚。深海魚だ。エサを食べ尽くしたら、また別のエサを求めて移動していく、おこぼれハンターのような生き方だ。

 一方で、移動がさほど得意でないエビやカニや貝などは、ひとところでじっと暮らす。おこぼれを探し回ることはできないから、エサは自分で身近なところでなんとかするしかない。そこで、有機物を合成できるバクテリアと手を組むものが現れた。それが動物とバクテリアとの間の共生だ。

 だからゴエモンコシオリエビもきっとバクテリアと共生しているんですよ、だって、そうじゃなきゃ、生きていけないじゃないですか。だからそういうことにしておきましょうよ――。K瀬なら、絶対にこうやって押し切るが、研究者の世界ではそういうわけにはいかない。

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