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 そう言えば、まわりを見ると、この林には、スプルースの木がほとんど生えていない。

 もっと標高が高くなると、タイガの森になってスプルースばかりになるのだけれど、今度は環境が厳しすぎて、野球のバットほどの太さほどにしか育つことができないのだ。

 持ち上げるのもキケンなほど重いスプルースの丸太を足で転がしながら運んでいると、再び林の奥のほうからスティーブが叫んでいる。

「アスペンと、スプルースの違いが分かったかい?」

「分かったよ……」
 私はため息をこぼしながら応えた。

 確かに……、この2つの木は、丸太を持ち上げただけでも、その違いが分かる。

 スプルースは、木目が緻密で密度が高く、油を多く含んでいて、手がすぐにもヤニだらけになってしまうほど樹液も多い。

 アスペンは、軽く柔らかな木で、油よりも水分を多く含んでいるようである。
魚に例えるならば、スプルースは脂が乗った秋のサンマや寒ブリ。

 アスペンは、淡白なタイやヒラメと言ったところだろうか。

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