まだ雪も降らず、シーズンオフ中の橇犬たちの世話と言えば、1日1回の餌やりと糞ころ掃除だけ。

 その他、さほどやることもない私は、スティーブの手伝いをすることにしたのだが、いったいどこから運ぶというのだろうか……。

 そうこうしているうちに、スティーブと彼の彼女が、四輪駆動のバギーに、リヤカーのようなタイヤの付いた大きな箱を牽引して、私を迎えにきた。

「君は、後ろの箱に乗って!」
 スティーブが軽快な声で言う。

「この箱~、憂鬱な箱だなあ」
 見るからに尻が痛くなりそうで、乗り心地など期待できそうもない。

 育ち盛りで、運動をさせなければならない2匹のハスキーの子犬たちも連れて行くことにして、バギーに並走させる。

 途中からもの凄いデコボコ道になって、木の根や倒木を乗り越えなければならない。

 子犬たちは森の中を駆けまわって喜んでいるが、箱に乗る私の尻はというと、何度もぶつけてズキズキするわ、踏ん張っているせいで膝がへらへらと笑いはじめた。

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