ログキャビンならば、丸太自体がスポンジのように小さな空気を抱えているので、断熱材の代わりになって、冬は温かい。

 ログを使わない板張りの家を建てる場合は、ファイバーグラスの綿の断熱材を入れるのが普通なのだが、この従業員用のベニヤ小屋には、それが使われていなかったのだ。

 現在のオーナーであるトーニャがここを購入する以前は、50代の白人男性が自らの資金でここを建設し、所有していた。

 その男性の考えなのか、従業員用の住居には断熱材は要らないだろうと、簡素に作られていたのだ。

 当時は、雇っていたコックたちが住んでいたらしいが、これでは居ついてくれないだろう。 

 しかしながら、オリバー爺さんの小屋も、私同様にベニヤ板張りなのだが、爺さんは意外にも平気な顔をしている。

 私は、大失敗を恥ずかしがるように頭をかきながら、
「昨夜は、ストーブが暴れすぎて、室内熱射病になるところでしたよ。はははは」と、自虐的に笑った。 

 一瞬、脳裏に新聞の見出しがよぎった。

『ジャパニーズ、極寒アラスカで、熱射病で死す』

 いやはや、笑い事ではない……。

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