第13話 ジャパニーズ、極寒アラスカで熱射病死!?
眉間にしわを深めて言う私に、スティーブは紳士的に静かに笑っていた。
そして、それを予想していたかのように、
「最初は誰でも、そうだよ」と言った。
確かにこれは、ウィルダネスの洗礼のようなものだ。
電気も石油もないゴールドラッシュ時代と同じような体験をしたのだ。
あの時代を思うと、今以上に厳しい寒さとの闘いだったに違いない。
凍傷で手足の指がちぎれ落ちた者も、寒さに命を落とした者も多くいただろう。
寝不足でへたっている私の顔を見てスティーブは、それまで見せていた笑みをどこかのポケットにしまったように、突然、深く重い声で言った。
「この地で、火をうまく扱えないのは、命とりだよ」