File1 深海エビを飼う男 和辻智郎

第1回 胸毛がワイルド!ゴエモンコシオリエビ生け捕り作戦

深海からはるばるやってきたゴエモンコシオリエビ。(写真:田中良知)

 水槽の中は白い。底に、白い珊瑚のかけら、珊瑚砂が敷き詰められていて、そこに紛れるように、白いカニのようなものがいる。

「すごい。映像では見ていたけど、本物を見るのは初めて。おおお、これが。ねえ、すごいよね」

 取材班の中ではもっとも海に詳しく、感激屋のY尾が感動に打ち震えているので、その脇からのぞき込んでみる。第一印象は、エビというよりカニ。よくよく見てみると腹は丸まって胸の下に収まっている。

「確かにこれはエビですね」

「いえ、エビではなくて、ヤドカリの一種です」

 取材班の中でもっとも海に詳しくないK瀬は早くも撃沈である。

 ひとつの水槽に10匹ほどがいて、大半がじっとしているが、水槽の中の網をよじ登っているものもいる。大きなものは子供のこぶし大、小さなものは携帯のストラップにちょうどいいくらいのサイズ。脚の間には、やや黄みがかって見える胸毛のようなものが生えている。かなりワイルド。

 その毛はメスにも生えている。オスとメスを見分けるポイントは、腹側にある2本の毛のようなものの有無と、ハサミの大きさ。オスの方がたいてい、ハサミが大きい。

地上ではごく普通の水槽に暮らす。普段は消灯している。(写真:田中良知)