番外編 ドラマ「海に降る」の撮影現場に潜入してみた

第2回 初物づくしのドラマ撮影

「井上芳雄さんが演じる研究者の人物像には、JAMSTECの高井研さんの研究に対するまっすぐさが影響されています。それから、しんかい6500の司令・櫻井利明さんは、飲んでいるときは楽しい人なのに、仕事の話になると目つきが変わる、いかにも海の男というカッコいい人物。ドラマの司令(演じるのは西岡徳馬さん)のセリフには、櫻井さんが実際に口にした言葉を使わせてもらっています」

 ヒューマンストーリーもこのドラマの軸ではあるが、もう二つ、JAMSTEC通がチェックすべき見所がある。「深海“の”宇宙」と「深海“と”宇宙」だ。

 まず、深海や船上からの景色。このドラマのために撮影したハイビジョンや4Kの映像だけでなく、JAMSTECの資料映像もふんだんに織り交ぜている。
 深雪がしんかい6500のパイロットを目指すのは、亡くなった研究者の父が、しんかい6500搭乗中に目撃した「深海の宇宙」を見てみたいからなのだが、その「深海の宇宙」も映像で再現される。
 有村さんも「放送されるのが本当に楽しみです」と期待しているシーンだ。

 それからもう一つは、宇宙とのつながり。

 2015年3月、土星のいくつかある衛星のうちのひとつエンケラドスでカッシーニ探査機が検出した微粒子に、ナノシリカ(SiO2)が含まれていたことが明らかになった。ナノシリカ粒子が生成するためには、海水と岩石が90℃を超える高温で反応しないと作り出されない。
 熱水と有機物、これは生命誕生に不可欠な要素だ。
 今後、冷たい惑星土星の衛星に、生命を発見できるかもしれない。それは人類にとって初めての地球外生命体であり、それとの遭遇は、人類最大かつ共通の謎・生命の起源に一歩近づくことになる。

 一方、JAMSTECは深海の熱水噴出孔の近くに、様々な生物を見つけてきている。
 深海は太陽の光が届かないので生命にとっては過酷な環境だが、熱水噴出孔付近は熱水と有機物という生命の必要条件は整った場所である。研究者たちはそこに、生命の起源の可能性を探してきた。