第67回 名シェフに聞くイタリアの秋を彩る栗菓子

イタリア菓子について、奥深い話を次々に繰り広げてくれた藤田シェフ

 白い生クリームで覆われたモンテ・ビアンコは、日本人に馴染み深いモンブランより本来の山のイメージに近い。

 名峰周辺のフランス・イタリア・スイスにまたがる地域一帯を治めていたサヴォイア家が、栗を使ったデザート作りに取り組んだ末、できたお菓子だそうだ。「栗のシロップ煮や生クリームを使っていることからすると、モンテ・ビアンコができたのは早くても19世紀末でしょう」と藤田シェフは指摘する。

 イタリアで修業を積んだ藤田シェフのモンテ・ビアンコは白いクリームの下から茶色い栗のクリームがちらりとのぞく。
「最初は、白い雪の下に地面が見えているという山のイメージで作られたと聞いたのですが、古い文献を見ると話が少し違っていた。山の裾野に栗の森があるというイメージで、盛りつけるお皿にココアをふって地面を表現しているのだとありました」と藤田シェフは教えてくれる。

 モンテ・ビアンコが郷土菓子のイタリア北西部ピエモンテ州は、栗の名産地。1つのお菓子の中に、地元の風景が凝縮されているというわけだ。「マロングラッセ(栗をまるごとシロップ煮にしたもの)や生のスミレの花をシロップ煮にしたものを飾ったりもするんですよ」