第2回 “長く深く”潜るコウテイペンギンの思いを探る

「潜水時間は長くて27分以上、深さにして560メートル以上も潜った記録があります。何故そんなことができるのか生理学的な視点から重要な研究材料であることはもちろんなのですが、わたしの興味はちょっと違ってまして。潜水能力が高いって、その分、行動の選択肢も多くなるわけですよね。長く深く潜れたら、どこでエサをとるか、どれだけの時間潜っているか、いつどこで開氷部に向けて戻り始めるか、すべてにおいて選択の幅が広くなります。では、動物がどういうふうに意思決定をするのか、行動を決めるルールを見つけようと思ったとき、コウテイペンギンはよい研究対象なのではないかと思います」

 潜水能力が高いが故に、水中での行動の選択肢が増える。コウテイペンギンの場合、氷の上に開いた穴から海に入ることがあり、この場合、どこかで採餌を終了し、穴に戻って呼吸をしなければならない。その際の意思決定は、どんなルールに従っているのか。というのが、塩見さんがコウテイペンギンの研究を通じて明らかにしようとしたテーマだ。その結果はすでに一部論文となって、クリアな結論も出ているのだが、それは次回。

 ここでは先に塩見さんがバイオロギングの世界に足を踏み入れ、コウテイペンギンの研究に手を染めるまでのことを聞いておこう。

 はじまりは、京都大学農学部の学部生時代で、やはりペンギンがらみだったのだという。