総合学習の一環で、ナショジオ本誌を毎号読んでいる成立学園。本誌から刺激を受けて生徒たちが研究した成果を「ナショジオ発表会」として学園祭で発表しています。どんな試みか紹介します。

電子黒板にパワーポイントの資料を投影し、研究成果を発表する成立学園高校1年の生徒たち。(写真クリックで拡大)

 今年の文化の日は、土曜日でした。この日を挟んで、学園祭や市民文化祭を開催するところが多かったようです。学園祭に目を移すと、体育祭が5月に開催されるように、分散して開催する学校が増えています。以前、このコーナーで紹介した東京の成立学園もそんな学校の一つ。今年の成立祭は、9月の29日、30日に行われました。

 ここで、成立学園について、再度、紹介したいと思います。成立学園は、中学も備える創立80周年を迎えた東京・北区にある私立の男女共学校です。「見えない学力」を涵養(かんよう)することが教育の柱の一つとなっていて、その一環としてナショナル ジオグラフィック日本版を生徒さんたちに読んでいただいています。これは「アース・プロジェクト」という総合学習のプログラムの一部で、実際に稲を育て収穫するなどの農業体験も行われるなどユニークな試みが行われています。ナショジオはその教養プログラムの一つです (成立学園におけるナショナル ジオグラフィック日本版の活用) 。地球で起きている様々なことに、生徒さんたちが気づいてその知見を広げていただければ、我々も嬉しい限りです。

 しかも成立学園では、ただ、ナショジオを読むだけではありません。ナショジオから影響された自主学習を行っています。まずは、学園祭の前にそれぞれのクラスで班ごとに研究成果を発表し、クラスの代表を決めます。高校1年生と高校2年生のクラス代表は、この成立祭でそれぞれが発表し合うのです。今回は、その発表会(通称:ナショジオ発表会)の審査員として、中村取締役と武内編集担当が参加しました。

 9月29日は学園祭の初日、高校1年8クラスの発表会でした。パワーポイントで作ったスライドを使って、それぞれ5~6名のクラスの代表が持ち時間10分ほどの中で順番に発表していきます。ナショジオ本誌が、地理からスタートしたとはいえ、歴史や自然科学的な記事も加わって今や「地球の森羅万象を扱う雑誌」がナショナル ジオグラフィックです。ナショジオを読んだ生徒たちが、実際にどんなテーマが選ぶのか興味は尽きません。

 実は、テーマが同じ発表が多いのではないかと考えていました。しかし、事前の予想は見事に外れ、「ディズニーランド」「タイタニック号、太陽嵐」「冬虫夏草」「地球温暖化について」「世界の観光地の裏側」「イースター島・謎に満ちたモアイ像」「アフリカ」「異常気象」と、本誌と同様、実にバラエティ豊かな研究発表でした。テーマを選んだ動機に、「記事を読んである程度のことはわかったが、さらに深く知りたいと考えました」という生徒が多いことが印象的です。「絶景の写真を見て、ほかにどのような絶景があるか気になった」という動機もあり、これはナショジオならではなのかもしれません。

クイズ形式でプレゼンに工夫も

 発表することで、研究テーマに選んだ対象を、深く知る、考える、整理するという過程が入るわけですが、クラス代表だけあって、どのチームもそれが裏付けられる、しっかり調べた良い発表でした。

 せっかく一生懸命に調べた研究内容を発表するのですから、プレゼンテーション時に聴衆を引き込むことは重要です。というのも、たくさんのことを調べて、こちらが言いたいことがあっても、聴く人に興味を持ってもらわないことには台無しでだからです。奇しくも、「謎に満ちたモアイ像」をテーマに選んだD組と、「異常気象について」発表したJ組の代表は同じ工夫をしていました。

 それは、大事なポイントを、クイズにして発表会を聞きに来た聴衆に答えてもらうという方法。実際に答えても、答えなくても、聴衆は頭を働かして考えるから、その後の発表内容も頭に残ります。

 最終的には、こうした工夫をしたチームの中から、J組の「異常気象について」の発表を、ナショジオ賞として選び、副賞の「ビジュアル 大世界史」をプレゼントしました。エルニーニョのような地球規模の現象だけでなく、日本列島で起きているゲリラ豪雨の原因をつまびらかにしたものです。世界や日本で起きている異常気象について、「もっと興味を持ち、理解していくことが、自分たちのできることだ」というしっかりしたまとめでした。受賞したJ組の生徒たちは、「来年もとります!」と感想を述べました。来年3月には中学生の発表があります。こちらも、今から楽しみです。

 なお、成立祭では、私たちも教室をお借りし、野生動物の写真パネルや本誌を展示させていただきました。成立祭に訪れた近所の小学生たちが興味深げにナショジオ本誌のページをめくっている姿が頼もしく見えました。

見事、優秀賞に選ばれた高校1年J組代表のメンバーたち。テーマは「異常気象」。聴衆も巻き込んだ楽しい発表でした。(写真クリックで拡大)