あのとき、あれほど怖気づかなかったら、「じゃあ、変わらないという証拠を見せてくださいよ」と聞き返していたかもしれない。けれども1958年の当時、私にあったのは証拠ではなく、ほかの多くの人と同じように、猛スピードで続いていくように見える進歩には何かマイナス面があるのではないかという直感だけだった。

人類が環境を変える“証拠”

 今では大気中の二酸化炭素濃度が上昇していることはもちろん、それには明らかな原因があり、重大な結果を招くこともわかっている。20世紀半ばまでは、人類が地球の機能を根本的に変える力を持っていることを確認する術がなかった。だが、いまやその“証拠”がある。

 二酸化炭素が増えつづける限り、気温も上がりつづける。近年の気温の上昇はごくわずかなように見えても、その影響ですでに極地の氷が相当に失われている。

 北極海の氷は1980年以来一貫して後退を続けていて、やがて夏の間はまったくなくなるかもしれないといわれている。現在、北極の温暖化はほかの地域の2倍の速度で進んでおり、そのペースはさらに加速しつつある。

 地球のもう一方の極では、南極大陸を囲む巨大な棚氷が、過去数十年の間にだんだん薄くなり、崩壊しつづけている。南極西部にあるラーセンB棚氷の2002年1月から3月にかけての衛星写真を見ると、大きな氷塊の表面に水たまりや筋が見える状態から、ロードアイランド州ほどの面積の区域が完全に崩壊した状態に、あっという間に変わっているのがはっきりとわかる。

©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

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