第11話 荒野の英雄、その罪と運命……。

「これからの生活……、ワシは、お前さんに様々なことを教えることを生きがいにしよう」

 そして、またゆっくりと足を出しながら、自分の小屋に戻って行った。

 戦後に生まれ、何不自由なく育った私が、どこまでオリバーの心の苦しみを理解することができるだろうか……。

 けれど、私がここで彼に出会えたのは、幸運なことに違いない。

 どこか、最後の力を振り絞りながら毎日を生きているような、彼の後ろ姿を見つめながら、私は思った。

「この人の持つ多くのものを、私も継がなければ……」と。

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つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/