第11話 荒野の英雄、その罪と運命……。

 彼の話を聞きながら、私は、ふと当時の日本兵のことを思った。

 彼らもまた、国のためと思い信じて戦地に赴いていたのだろう。

 オリバー爺さんは、再び小さく呟いた。

「ワシが撃ち落した兵士にも家族があっただろう……。あの戦争でワシは……、ある母の息子を殺し、ある子の父親を殺したのだ……。それも、多くの命を……」

 戦争が終わり、自国に帰還した彼は、まるで英雄の凱旋のように迎えられたという。

 しかし、戦争を正義だと美化し、まるで世界が我が物のように喜んでいる人々の前で、彼はハタと立ち止まったのだった。

「多くの命を奪った戦争に、正義などない」

 オリバーのか細い声が強くなった。

「徴兵され、それが国民の使命だったとしても、ワシは多くの命を奪った殺人者なのだよ」

「殺人者なのだ……」

 オリバー爺さんは、息苦しそうに浅い息を吐きながらも、語気をさらに強めた。

 その後のオリバーは悩みつづけた。結婚をして、子供をもうけながらも、自分を責めることから解放されず、彼の足は自然とアラスカに向っていた。

 そして、荒野の奥へ奥へと分け入って行ったのだった。