でもそれは当たり前の話だった。掘越先生がボクに言ったように、ボク達は「誰もやったことのない新しい研究分野を切り開くんだ」という野望に突き動かされていたんだ。ボク達が誇れるのはその大志と情熱だけで、世界からみれば「東洋の島国の名もなき若いゴロツキ研究集団」でしかなかったはずだ。ボク達は、世界のこの研究分野のナニモノカになるために、ホントに一生懸命で無我夢中だったんだ。

そして、最初は数人だったボク達の研究グループは、いつの間にか10人近い所帯になっていた。気がつけば、ボクは30歳を少し超えたばかりなのに最年長のグループリーダーのようなモノになっていた。そのポジションは管理職というようなモノではなく、チームを鼓舞する「キャプテン」みたいな感じだったけれども。

そんな「魂だけのキャプテン」として、とにかくガムシャラにナニカに突き動かされていたような研究生活は今振り返ると、とてもキラキラと輝いていた日々だったように思う。それはまさに、ボクの青春を深海に賭けた日々―第二楽章―と言えるモノだった。

それで「ひとりvs宗家」の闘いの行方はどうなったか?

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