国家元首が変わって4年。カリブ海の社会主義国はどこへ向かうのか。希望と絶望が交錯する島を訪れた。

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変革を模索するキューバ

国家元首が変わって4年。カリブ海の社会主義国はどこへ向かうのか。希望と絶望が交錯する島を訪れた。

文=シンシア・ゴーニー 写真=パオロ・ペレグリン

 半世紀に及ぶフィデル・カストロの支配が終わり、弟のラウルが国家評議会議長に就任して4年。社会主義国のキューバでは、市民が住宅や車を買えるようになったほか、小さな事業を始められるようにもなった。医療費や教育費は無料。最低限の食料品は配給制度によって安く手に入る。

 一方で問題なのが、「人民ペソ」と「兌換(だかん)ペソ」という2種類の通貨が流通していること。兌換ペソは外国人観光客が使うための通貨だが、実際には市民生活にも欠かせない存在となっている。公務員や国営企業の従業員は給与を人民ペソで受け取っているのに、化粧品や家具といった高価な商品を買う際には兌換ペソで支払わなければならない。人民ペソで給与をもらう医師より、観光客相手に兌換ペソを稼ぐタクシー運転手のほうが実質的には何倍も高い収入を得られるという、不条理な現実もある。

 そんな祖国に見切りをつけて、海外に活路を見いだそうとする人々もいる。ある経済学者の推定では、世界各地の移住者たちがキューバへ送金する額は、合計で年間1000億円をゆうに超えるという。

 希望と絶望が入り混じる新生キューバは、どこへ向かうのか。

編集者から

 筆者のシンシア・ゴーニーは2011年9月号「少子化とメロドラマ」を執筆したジャーナリスト。今回は、ボートで国外脱出しようとしている35歳の男性をストーリーの中心に据えた、物語風のルポルタージュを届けてくれました。男性は無事、海を渡って米国にたどり着いたのでしょうか。ぜひ最後まで読んで、結末を確認してください。

 写真家のパオロ・ペレグリンは写真家集団マグナム・フォトに所属し、世界報道写真コンテストで何度も入賞している実力派のフォトジャーナリストです。(編集T.F)

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