南極で氷の下から飛び出すペンギンを撮影した写真家のニックレン。少年時代、カナダのバフィン島でイヌイットと暮らした経験を生かし、氷と風の状況を読み、氷の上に寝転んでひたすら待つ。ときどきペンギンが出てくると、かじかんだ指でシャッターを押し続けた。

「ペンギンは戦闘機のようにいきなり飛び出してきて、氷の上に落ち、くちばしを支えにして立ち上がるんです。そのあとは、よちよち歩きで去っていきます」

―ルナ・シアー

レンズの裏側

――ペンギンは大きいですね。ぶつかったら痛そうです。

ニックレン:一度、頭に当たりました。1羽がコースを外れて、頭の上に落ちてきたんです。体重30キロほどの雄で、何事もなかったかのように、立ち上がって歩き去っていきましたよ。こちらはかなり痛かったものの、けがはしませんでした。ヒョウアザラシにもぶつかられましたね。水中から飛び出してきて、ペンギンをボーリングのピンのように体当たりして倒すんです。

――この場面で、ペンギンとはどれくらい離れていましたか?

ニックレン:1メートルほどです。水しぶきがかかるので、カメラは防水ケースに入れてあります。ペンギンは氷の上に落ちるとドサッという音を立てて、甲高い声を上げるんですが、それはもう大変な騒ぎでした。

――ペンギンと過ごした日々は楽しかったですか?

ニックレン:キャンプでの最初の夜、ペンギンたちがついてきて、夜通し外で鳴いていました。これが毎晩続き、3日目の夜になるとさすがに眠れなくて、楽しむどころじゃなくなりましたよ。