第10回 生き物のスピード競争

 時々、爪が伸びていることに気づく。ほんの1週間前に切った筈なのに、なんとまあお前も律儀なことよ、と感心する。

 しかしそういっちゃ悪いけれど、爪なんてそんなに何時までも伸びなくてもいいような気がする。そっちのほうの生育に使う体内の養分をもっと別のほう、そうだな、たとえば歯なんかに回してほしい。歯は永久歯が抜けるともう生えてこない。永久歯が抜けるとなにかはかりしれない喪失感がありますな。

 だからそんなに爪にこだわらないで、全ての爪の再生力を結集し、せめて1本だけでもいいからむしろ永久歯のあとにもう1回3本目の歯を再生させるほうにエネルギーを転換させてくれないだろうか。

 鮫の歯はよく見るとベルトコンベヤー式だ。欠けると奥からすぐに次の歯が1列まるごと出てくる。最初は小さいがすぐに大きくなる。そうしてよく見るとその次の歯も、さらにその次の歯も準備されているのだ。永久供給替え歯、近頃のハイブリッドひげそり刃もかなわない。人間の歯もあの鮫システムをもっと考えて研究してほしい。