第9話 穴熊式、掘っ立てベニヤ小屋暮らし

 確かに、フロンティア時代なら、ランプやローソクがあればいいけれど、現代人には電気は大切だ。

 私もデジタルカメラやパソコンが欠かせない生活になってしまっている。

 と、またスティーブが言い忘れたように言った。
「もうすぐ、パネルに霜が付くし、雪も積もるからね……、頑張ってね」
「そうか~、手ごわくなるんだね」
「そうだよ」

 スティーブはそう言うと、相変わらず紳士的な笑みを投げかけながら、どこかに去っていった。

 今まで電気代を払うことしか考えたことがない私は、これから、せっせと自分で発電しなければならないのだ。

 橇犬たちの世話+太陽光パネルの世話。

 なかなか、面白いではないか!

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 つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/