第9話 穴熊式、掘っ立てベニヤ小屋暮らし

 ベニヤ小屋と言え、住めば城。さっそく荷物を運び入れた私は、ドアを閉めたとたんに目の前が真っ暗になった。

 穴熊式ベニヤ小屋の中は、まさに熊の巣のように暗かったのだ。

 真冬の暖房のロスを出さないために、ドアは耐火金庫のように頑丈な鉄で出来ていて、窓も小さく、ほぼ密閉状態になるのだった。

 照明は、長さ15センチほどの蛍光灯がベッドの横に付いているだけで、ぼんやりとつくだけ。

 驚きなのは、ここは全て自家発電でまかなっていることだった。

 ロッジの裏に畳4枚分ほどの太陽光パネルを高く上げている塔があって、発電された電気はロッジに送られている。

 発電の場所から遠く離れていて、送電ができない小さなキャビンは、毎回、バッテリーを充電して、部屋に持って行って配線につながなければならないのだ。

 小屋を案内したスティーブが、言い忘れたように私に言った。

「そうそう、夏は太陽が沈まないから放って置いても発電しているけど……、これから冬に向かって日照時間が短くなるからね、太陽を追いかけるように、いつもパネルの向きを変えてやらなければならないんだよ。大切な仕事だよ」

「なるほど……。それも私の仕事だね……」