第9話 穴熊式、掘っ立てベニヤ小屋暮らし
そんな私の思いなどつゆ知らず、スティーブはあっさりと言った。
「あのキャビンは、お客さん用だからね」
なるほど、なるほど。確かに私は、お客様ではない。
しかしながら聞くところ、2年ほど、このロッジにはお客さんが来ていないというではないか。
景色も良く、まるでアラスカの秘境中の秘境のような所だけれど、ここまで運んでくれる飛行機はボロいし、フライトは天候に左右されて不定期だし、しかもフロンティア時代の古い生活様式が売りでもあるため、水洗トイレもなければ水道もない。