6つ目。ジョン・バロスによる提唱以降、まるで水戸黄門の印籠のように、お決まりのスローガンとして使われてきた「深海熱水域の海底下に未だ見ぬ海底下生命圏が存在し、そこには太古の微生物生態系が残されているかも」という情緒的でロマン先行型の「仮説のようなモノ」をもっとエレガントな(論理的に矛盾のないしっかりした)科学仮説として更新・再生したかった。

これは多分にボクの個人的な欲求に基づくモノだったけれども、まさしく自分が研究の世界に足を踏み入れるキッカケとなった「思想」だったからこそ、自分の手でより美しい「科学仮説」へと昇華させたいという強いこだわりがあったんだ。

つづく(そして「元祖」vs「ひとり」対決の行方は?)

高井 研

高井 研(たかい けん)

1969年京都府生まれ。京都大学農学部の水産学科で微生物の研究を始め、1997年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者に。現在は、同機構、深海・地殻内生物圏研究プログラムのディレクターおよび、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットリーダー。2012年9月よりJAXA宇宙科学研究所客員教授を兼任。著書に『生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る』(幻冬舎新書)など。本誌2011年2月号「人物ファイル」にも登場した。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る