4つ目は、深海熱水環境に生息する微生物について、多様性を調べる以上に、優占する微生物の量を調べることを目指した。

実はそれまでの深海熱水の微生物研究では、深海熱水のチムニーや熱水の中で、どんな種の微生物が最も幅を利かせている(優占的に生存している)のかということも分かっていない状態だった。陸上の生態系の場合、その環境にどんな植物が一番多く存在し、光合成一次生産に貢献しているのかという生態学や物質循環を理解するための最も重要な基盤情報は、人間による直接調査や肉眼観察によって簡単に定量できる。しかし直接調査することが極めて困難な深海熱水における肉眼で見えない微生物生態系に関しては、そんな最も基本的な情報でさえ誰も分からなかったのだ。

5つ目は、やがて完成するJAMSTECの巨大地球深部掘削船「ちきゅう」を使った真・魁「海底下生命圏研究」を見据えていたこと。

BMS掘削によって得られる最深10数メートルの海底下コアは、海底下生命圏に対してその入り口を軽くノックした程度に過ぎないモノだった。

ボクたちは、「ちきゅう」を駆使して行われる予定の統合深海掘削計画(IODP)の推進のために立ち上げられた「JAMSTEC地下生命圏研究グループ」の選ばれしメンバーだったわけで、「ちきゅう」掘削による真・魁「深海熱水海底下生命圏掘削研究」を目指すことが求められていた。そこでボクたちは、沖縄トラフ伊平屋北熱水フィールドに焦点を当てて、IODPでの真・魁「深海熱水海底下生命圏掘削研究」掘削プロポーサルを提出し、その実現を目指した。

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