その失敗の歴史を踏まえ、「元祖アーキアンパーク計画」では、海上から長いドリルパイプを繋いで海底を深く掘削する方法ではなく、BMSという掘削装置そのものを海底に設置し、数メートルから10数メートルの孔をたくさん掘ることを計画していた。そうすることでコア回収率を上げ、海底下以外の環境からの微生物混入を防いで、これまで失敗続きだった深海熱水海底下生命圏研究を成功させようと目論んでいたのだった。

この新機軸に対抗するため、ボクたちJAMSTEC地下生命圏研究チームは「元祖アーキアンパーク計画」に勝つまでにしたい6のことを考えた。

まず相手が必殺技(BMS掘削)を出してくる前に勝負の趨勢を決めてしまう電撃的速攻が最も重要だと考えた。

つまり、「元祖アーキアンパーク計画」が着手する掘削事前調査(要するに有人潜水艇や無人機を使った深海調査)に先んじて、日本近海の代表的な深海熱水域で微生物の多様性研究を網羅的に進めてしまおうというものだった。コードネームは「犬のおしっこ作戦」。できるならばBMS掘削が対象とする深海熱水フィールドについて先行的に(嫌がらせ的に)おしっこをかけようと考えた。

2つ目は「チムニーでも同じはず作戦」。BMS掘削によって得られる海底下コアは、所詮、海底から数メートルから10メートル程度の深さまでだった。それはスケール的な観点から言えば、大きな熱水噴出孔チムニー(内と外の壁の肉厚10センチを超えるものも多い)のたかだか100倍程度の拡張に過ぎなかった。逆に言えば、チムニー構造はBMS掘削コアを100倍程度濃縮還元したものだと言えるのである。

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