第7回 海底資源の開発と海の環境

©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

 なんと途方もないアイデアだろう。
 波立つ海の上で、フットボール場を二つ並べたよりも長い船を安定させながら、海底に向けて長さ5キロものパイプをストローのように延ばすとは!

 このようにして深海底を掘削すると、採算に合うだけの大量の岩石を海底から吸い上げられるという。1974年、カリフォルニア州ロングビーチで巨大船グローマー・エクスプローラー号を見学したときに聞いた話だ。

 ところが、その後ほどなく、この船の本当の任務は1968年3月に核弾頭を積んだまま沈没したソ連の潜水艦K-129の引き揚げだったことが発覚した。

 CIAによるこの極秘作業をカムフラージュするために、航空産業のパイオニアであるハワード・ヒューズが、海底資源としてマンガン団塊(ノジュール)掘削事業に乗り出すという作り話がでっち上げられたのである。

 世界中の深海にマンガン団塊が豊富にあることは、1870年代に海洋調査船チャレンジャー号の航海で発見されて以来知られていたが、採取には莫大な費用がかかるうえ技術的にも難しいことから、その後100年近い間、ほとんど関心を集めなかった。