第6話  JAMSTECの拳―天帝編―

その6  この研究計画はオレ様のために存在するのだ

確かに、アーキアンパーク計画にはボクが望んでいた深海熱水を総合的に理解するための学際的な情報基盤や多分野の研究者が揃っているのは間違いなかった。ボクはそれをとても羨ましいと思ったし、参加すればオートマティックに深海熱水の分野横断研究が進むと薔薇色の未来を想像したりもした。

でも掘越先生の言葉を聞いた後よく考えてみて、ボクは今までそんな楽な道を歩んでこなかったはずだと思い至った。

自分がやりたいと思う方向であれば、どんな知らない世界でもまず身一つで飛び込んでみて、わからないことは論文を通じてなんとか理解した気になって、自分の力で考え抜いて研究計画を立て、成功するまで実験を繰り返し、最終的には自分の思い込んだストーリーに基づいて論文を書いて、強引に世界中の研究者にアピールしてきたんじゃないのか。

ボクはそういうタイプの人間だったはずだ。それに、アーキアンパーク計画の一番の目標である深海熱水の地下微生物生態系の解明に関して言えば、今世界で最も近づいている研究者こそ他でもない、自分じゃないのか?

完全に開き直ったボクに、そんなスーパーナマイキ傲慢モードが遂に出現したんだ。「JAMSTECの上層部とやらよ。オレ一人ではアーキアンパーク計画に勝てないとでも?」