海氷に閉じ込められる、サメに追われるなど、35年に及ぶ写真家人生で数々の災難に遭ってきた写真家のスケリー。しかし、メキシコのユカタン半島沖でジンベエザメに遭遇したのは、災難どころか、うれしい経験だった。スケリーによれば、大きな口の中で泳いでいたコバンザメは「食べられることはない」という。彼も餌食になることなく、進路を譲った。

――ルナ・シアー

レンズの裏側

――体長9メートルだそうですが怖くなかったですか?

スケリー:ジンベエザメは人間を攻撃することはありません。最悪の事態は衝突されることですが、クロマグロのような魚とは違って、動きがとても遅いんです。だから、どちらかと言うと、自分のほうからぶつかって邪魔しないように気をつけていました。

――ジンベエザメを真正面から撮った写真は珍しいですね。

スケリー:ここまで近づけるなんて願ってもないことですし、このアングルで見ることのできる人はなかなかいないでしょう。このとき、数百匹のジンベエザメが海面付近に集まって捕食していたんです。あんな光景を見たのは初めてで、本当にびっくりしました。そもそも、2匹以上が集まっているのを目にするだけでも珍しいんです。

――望遠レンズを使えば、もっと安全に撮れるのではないですか?

スケリー:水中写真家には、望遠レンズを使える場面があまりありません。光が海水で拡散してしまうので、色や細部をはっきりとらえるために、被写体にぐっと近寄る必要があるんです。