- OCTOBER 2012 -

ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から

菊咲く庭で歌う瞽女(ごぜ)

 菊花の鉢が並ぶ庭先に、三味線を弾きながら唄声を張り上げる女性の芸人が一人。明治・大正期に日本を訪れて取材したジャーナリスト、エライザ・R・シドモアが撮影した一枚だ。


 写真の女性は、瞽女(ごぜ)と呼ばれる盲目の旅芸人。竹の杖を携え、数人が縦一列になって旅をする姿が、昭和の初期までは全国各地で見られたという。幼い頃から師匠のもとで修行し、唄や三味線の厳しい稽古けいこに耐え抜いて、ようやく一人前となる。瞽女の芸は長年、辺地の農村の人々にとって貴重な娯楽だった。だが、太平洋戦争を境に農村をとりまく事情は一変。戦後、ラジオなどが普及するとともに、瞽女たちは姿を消していった。

ELIZA R. SCIDMORE