丘の中腹に建つロッジは、まるで林の中の小さなキャビンのお母さんのような、大きなログハウスだった。

 栄養豊富な水源地で育ったような大木をふんだんに組み合わせて、東側の壁には、オーロラでも鑑賞するような大きな窓がつけられていた。

 芸術品のように美しい薪ストーブも置かれていて、まさに誰もが憧れる「ログハウス」だ。

 これからここで暮らすことになるのだが、それよりなにより、私は犬たちが気になる。

 ドッグヤードはロッジの裏手にあって、犬たちはすでに人間の気配を察して甘えた声で鳴きわめいていた。

 ひゃ~あああん。バウバウ。
 くううう~ん。バオバオ。

 ドッグヤードはもはや、壊れた大オーケストラさながらだった。

ひゃ~あああん。バウバウ。くううう~ん。バオバオ。さながら壊れた大オーケストラ!(写真クリックで拡大)

つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/

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