ベースキャンプからC1(1つめのキャンプ地)を往復するのではなく、C1に着いたらそこで泊まってしまう。このときは順化をしていないからかなり苦しくて、夜もほとんど眠れません。ときには吐いたり、頭痛に悩まされながら、一晩なんとか、無理矢理やり過ごします。1晩泊まったらベースキャンプに下りて数日レストして、再びC1に行く。そうすると今度は順化ができているから前回あんなにゲエゲエ吐いて苦しかったC1で苦しくないんです。そしてC2に行き、またゲエゲエ吐きながら無理矢理1晩過ごす。そしてベースキャンプに戻ってレスト。再びC2に行くと今度は普通に過ごせる。で、C3へ。場合によってはC3から頂上へ。今までは何度も往復して1~2ヶ月かかっていた登山を、私たちは数週間で行います。極地法ではありますが、非常にシンプルでコンパクトな方法をとっています。

 今、8000m峰を登る人たちのなかでは、普及してきている方法だと思います。

――すばらしいパートナーを得て山の世界が広がった竹内さん。高所登山の登り方の話をもう少し聞かせてください。

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つづく

竹内洋岳(たけうち ひろたか)

1971年、東京都生まれ。プロ登山家。立正大学在学中の1995年にマカルー(8463m)に登頂し、翌96年には、エベレスト(8850m)とK2(8611m)の連続登頂を達成する。98年に大学を卒業し、ICI石井スポーツに入社。2001年からは、ドイツ人クライマー、ラルフ・ドゥイモビッツとオーストリア人女性クライマー、ゲルリンデ・カルテンブルンナー夫妻を主なパートナーとし、各国のクライマーと少人数の国際隊を組む登山スタイルに軸足を移す。2006年に「プロ登山家」宣言するとともに、8000m14座を制覇する「14 project」を始動。2012年5月26日、ダウラギリの登頂に成功し、日本人で初めて8000m峰14座完全登頂を成し遂げた。


西野淑子(にしの としこ)

1969年、山口県生まれ。大学卒業後、旅行ガイドブックを多く手がける出版社を経て、1999年よりフリーランスライター&編集者として独立。趣味は登山と茶道。登山は1999年からはじめ、現在は関東近郊の低山歩きから、アルパインクライミング、冬山登山など、オールラウンドに楽しみつつ、専門誌『岳人』(東京新聞出版部)などでも活躍している。主な著書に『東京近郊ゆる登山 (ブルーガイド)』(実業之日本社)、『女子のための!週末登山』(大和書房)、『もっと行きたい! 東京近郊ゆる登山 (ブルーガイド)』(実業之日本社)などがある。

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