ぼくの中に、「釣りの虫」が暮らし始めたのも、大学時代のワンダーフォーゲル部に在籍していたときのことでした。

 沢登りの途中、先輩の見よう見まねで始めた、渓流釣りがきっかけです。

 渓谷を遡って山頂を目指す沢登りでは、ほとんど誰も足を踏み入れないような山奥にでかけます。

 そこには、「岩魚=イワナ」が暮らしているのです。

 最初は、いくつも滝を越えていったこんな山奥に、魚なんているのだろうかと、半信半疑でした。

 でも、実際に竿を出してみると、見えない滝壺の底から本当に魚が釣れるので、驚きました。

 丸くやさしい顔立ち。ツヤのある流線形の体。見る角度によって虹色に変化する肌。そして、背中を覆う白い水玉模様……。

 目の前を流れる清らかな水が、そのまま結晶になったみたいに美しい魚です。

夏の終わり、浅い湖で穂を実らせるワイルド・ライス。太古の昔から、先住民や水鳥たちの貴重な栄養源となってきた。(写真クリックで拡大)

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