第1回 山頂は到達点ではなく単なる通過点

――日本人初の8000m峰14座登頂、おめでとうございます。

 ありがとうございます。

――14座目のダウラギリに登頂をされたのが2012年5月26日でした。登頂した瞬間、どんなことを考えておられましたか?

 早く帰りたいと思っていました。

 頂上は天候があまりよくなかったです。ファイナルキャンプを出てからクーロアール(岩壁の溝)を抜けるまでは無風快晴で、これまで登頂した8000m峰の中でもかなり暖かく、条件はよかったのですが、クーロアールを抜けて頂上への稜線に出たとたん、体がよろけるほど強い風に吹かれて。頂上のあたりは風が強くて、雪も氷になってしまうほどなんですね。そこをよろよろと歩いて山頂を目指しました。そして山頂に着いたときには「もう早く帰らなきゃ」という気持ちでした。

(写真クリックで拡大)