第4章 1921-1956 カラー革命と第一期黄金時代

第30回『ナショジオ』と赤シャツと『ライフ』

 その話は当時『ナショナル ジオグラフィック』と並ぶ、いや、それ以上に人気の写真雑誌だった『ライフ』を抜きに語れません。

 ナショジオと『ライフ』はいわば写真雑誌の2トップでした。そのため、とりわけ戦後から1950年代にかけて、お互いを差別化する方向に進化していったのです。

『ライフ』は1936年に創刊された週刊誌で、写真を大きく見せる「フォト・エッセイ」というスタイルの「グラフ雑誌」として一躍時代の寵児となります。

 その使命は報道であり、一番のウリは写真でした。『ライフ』の写真にはスクープが求められました。日本でも有名な戦場カメラマンであるロバート・キャパや、水俣病の撮影もしたユージン・スミスなどが輩出した雑誌と聞けば、どんな写真が掲載されていたか想像がつくのではないでしょうか。1950年代の部数はなんと500万部以上。ちなみに戦前には土門拳による日本の外務大臣の写真が掲載されています。いいですよね、土門拳。中の人は山形県酒田市の記念館まで行きましたよ。

 一方、ご存じのとおり『ナショナル ジオグラフィック』は「地理知識の普及と向上」をめざす会員誌。ですから、『ライフ』とはそもそも写真の方向性は違っていたものの、戦後になると事情が変わりはじめます。アメリカがますます豊かになり、読者が自由に外国へ旅行できるようになると、『ライフ』にも外国やその首都、エキゾチックな民族などの写真が載りはじめたのです。